きおくのかけら

オールドレンズ「Ai Nikkor 50mm f/1.2s」と一緒に記憶を旅するブログです

朝顔を見るとラジオ体操を思い出す



 

子ども達が小学生の頃、夏休みに入ると子ども達のラジオ体操に付き合って早起きをした。
ラジオ体操は近くの公園に子供たちを集めて、自治会子供会が主催するものだった。
私の家はこの公園のすぐ近くということもあり、ラジオ係を任された。
ラジオ係は当然ではあるがラジオ体操の放送が始まる前に会場にラジオを設置しておかなくてはならない。遅刻するわけには、いかない。

そういえば私が子供の頃、近所の呉服屋のおじさん(大山さん)がその係だったのを憶えている。
呉服屋のおじさんは、眠そうな子供たち一人一人に声をかけ、とても世話上手で優しかった。私はこのおじさんが、優しく頼りがいがあってとても好きだった。

歳月は流れ、今、この地区の子供たちにとっては、私があの時の呉服屋のおじさんなのだ、と思い当たる。そう思うと、ちょっとびっくりだ。
あの呉服屋のおじさんは子供の自分にとっては完璧な大人として私の中にあるのに、今の私はこの子供たちにとってどんな大人に映っているのだろう。

情けないことに、早起きが苦手な私は、遅刻しそうになって走って公園にむかい、眠そうに体操をこなし、子供たちからせかされて体操カードにシールを貼ってあげているこの自分が、とてもあの時の呉服屋のおじさんのような完璧な大人だとは思えない。

それでも子供たちが、
「ねえ、あと3日頑張ればジュースもらえるんだよね」 と瞳を輝かせてニコニコしているのを見ていると、精一杯完璧な大人を演じなくては、と思ったりした。
「そうそう、いいかぁ、あと3日休まずに頑張るんだぞぉ。」

体操カードのシールを確認して、ダッシュで帰っていく子供たち。
その後ろ姿を、自分の子供の時に重ね合わせ懐かしく思いながら家に帰ると、庭には遠いあの頃と同じようにきれいな朝顔が風に揺れているのであった。

 










NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR Sで撮影






ちなみに、私が初めて植物を育てたのが朝顔であった。
小学生の頃、観察日誌で書いた朝顔の双葉の絵が上手だと先生に褒められたのを今でも憶えている。






 

 




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